第2波か、それとも2回の表か?
4月7日に7都府県対象に対して緊急事態宣言を発令後、16日には全国に拡大し、営業自粛要請や不要不急の外出の自粛を進めることで、新規感染者の数は、大阪でも全国でも減少を続け、新形コロナ感染症に対する対策はひとまず成功したかのようにみえました。この間の、死亡者数も欧米に比し極端に少なく(残念ながら東アジアの国々の中では多いのですが)、ジャパンミラクルと言われていました。しかし、5月25日に全国の緊急事態宣言を解除し、営業の自粛要請の緩和、県外への移動自粛の解除後、わずか1ヶ月あまりで、再び新規患数は増加に転じてきました。(図)
図:新型コロナの発生状況(7月14日まで)大阪府ホームページより
戦略的には、当初のステイホーム。営業自粛で未知のウィルスの感染者数を減らす作戦は成功したといえるのですが、その為には、大きな代償も伴いました。それは、経済活動が停滞し、職種によっては、休業、廃業に追い込まれる人々が大勢出てきたことです。
これは、当然予想されていたことで、感染拡大の一番の対策は隔離であり、隔離による一番の弊害は、経済的な活動の停止です。命を守るための隔離政策、自粛政策で、それまでの通常の生活が脅かされ、結局は間接的に命を奪われる事態も生じうる結果となった訳です。もちろん、感染に死亡は、病気としての肉体の死で、経済的な損失による死亡は、日常の生活の損失による、精神的な死といってもいいかもしれません。
政府が、自粛要請解除、日常生活の回復に向けて、舵を切ったのはやむを得ないことといえます。
今は、感染による死亡を最小限に抑えつつ、日常生活をいかに取り戻すか、あるいはいかに新しい日常生活を構築するかの非常に重要な時期で、全く予断を許さない時期といえます。
ブラジルなどでは、当初から、多少の新型コロナ感染は覚悟の上で、経済を止めないように動きました。その結果、当初から感染爆発を起こし、未だに多くの病気による死亡者が日々報告されています。
アメリカやスペイン、イタリアなど、初期の感染制御がうまく行かなかった国は、その後の対策にもかかわらず、やはり、未だに感染拡大がみられています。
一旦、感染が収束に向かった国でも、その後の活動の再開により、今の日本と同じように感染の再燃が起きつつあります。
ジャパンミラクルと揶揄されたときに、日本のPCR検査数の異常な少なさが指摘され、潜在的にはもっと多くの感染者がいるはずであると予想されていましたが、6月16日に厚生労働省が東京、大阪、宮城県の一般住民の新型コロナウィルス抗体検査の結果が公表されました。(図)
その結果、陽性率は東京都で0.10%、大阪府で0.17%、宮城県で0.03%という報告で、欧米で感染爆発を起こしている地域での陽性率の10~20%に比べて明らかな少なさでした。
これは、ある意味想定外の結果で、欧米並みではないにしろ、日本でも実際には、もっと多くの人が、自覚症状もなく感染しているという予想があったからです。
やはり、日本人には欧米人に比し、明らかに感染しにくい何らかの要因(ファクターX)があるものと思われます。
政府、マスコミ等で、感染の第2波は当然あるというのは言われ続けてきました。また、第2波をより小さくするための対策等も報道されています。
小池東京都知事が会見で発言されていたように、「自粛から自衛」の時期に移行したといえます。
政府や、自治体が守ってくれるのではなく、自衛する行動も望まれています。
先日、テレビの報道で、山中伸弥教授と、北海道大学の西浦博教授の対談で、第2波というよりは、野球に例えて、まだまだ2回の表のコロナ側の攻撃が始まったばかりという説明がありました。今や。南米、インド、アフリカ諸国、ロシアでも感染は爆発的流行を来しています。
日本では、次の1か月、2回の表の被害を最小限に抑え、反撃のチャンスを伺いましょう。
以上