前回のつぶやきから、早や2ヶ月が過ぎました。別に不要・不急の外出の自粛生活で、ホームページの“つぶやき”まで自粛していた訳ではないですが、この間の連日のコロナ関連の報道で、今さら“院長のつぶやき”に耳を傾ける人もいないかなとも思っていたのも事実です。
大阪府では、ホームページで毎日の患者数や退院者、死者数を掲示しています。
直近の報告(5月25日)を見ると、図に示すように、患者数は4月20日頃をピークに減ってきています。
この間はご存じのように、大阪では3月20日からの連休中の兵庫との往来の自粛を呼びかけ、東京でも3月24日のオリンピック延期の決定後に俄かに、外出自粛を呼びかけ、ついに政府は4月8日に非常事態宣言を発令しています。大阪での、この前後の経過をもう少し詳細に見てみると、図に示すように、3月20日には患者数は120名でしたが、4月8日には524名までに増加、その2週間後には2倍以上の1100名近くまで増えていることがわかります。
図;新型コロナの発生状況(3月14日~4月28日)
つまり、感染者がわずか100名足らずでも、2~3週間で10倍以上に増えることがわかります。
幸い、5月10日以降は新規患者数も減少し、大阪モデルを基準とした自粛解除の方向に進んでいます。
しかし、感染者数が増えだすときの、この速さは今後も絶対に肝に銘じておかなければなりません。
未知のウィルスのジャパンミラクルとファクターX
これらの感染者数の減少は、兎にも角にも、多くの人の自粛生活の賜物と言って間違いはないと思います。ちなみに、当院では、この冬にはインフルエンザ患者さんの数も例年に比べ非常に減少しており、以前には賛否両論あったマスクと手洗いの予防効果が奇しくも実証されたといっていいでしょう。
ただ、以前の“つぶやき”にも、書きましたが、このウィルスはあくまでも未知のウィルスです。この5か月間で多くの知見が集積され解明されてはきたものの、まだまだ未知の部分は多くあります。
世界の各国からは、ジャパンミラクルと言って、日本の政府の対策は必ずしも評価できないが、感染者数、死亡者数が少ないのは奇跡に近いといわれています。確かに、医療者から見ても、以前から日本の感染症対策はあまり評価されていないのは事実です。
このミラクルがどこから来ているのかは、未だ解明中ですが、決して喜んでばかりはいられない面もあります。
欧米に比し、日本での死亡者の数は極端に少ないとの評価ですが、それでも900人近くの方が亡くなられています。m3.comの「ニュース・医療維新」というコーナーに山梨大学の島田先生、荒神先生が配信されていますが、
アジア西太平洋地区全体で明らかに欧米に比し死亡者数が少ないこと(図1)、その中で、中国を除くと日本とフィリピンが明らかに死亡者数は増加し続けていることが示されています。
m3.com「ニュース・医療維新」 山梨大学の島田先生、荒神先生
今後、ファクターXはあるにしろ、決して油断することなく、第2波、第3波に備えて、今度は臆することなく先手を打っていく態勢が大事かと思います。
以上