2回目の非常事態宣言
この一年で、世界中を一気に席捲した感のあるCOVID19ですが、その間に、まさに世界中から、様々な知見が報告されて来ています。
通常、医学論文を含めた科学論文というのは、査読という複数の専門家の審査を何回も経て、十分に吟味されてから初めて公表されます。
しかし、今回のSARSコロナウィルス2、COVID19に関しては、全く未知のウィルス、未知の疾患ですから、権威ある医学誌(特に臨床系)は、当初から、できうる限りの報告を、できうる限り早く公開し、その問題点に関しては、後日吟味するという対策を取りました。
その結果、当初は有効であるとされた薬剤が、その後効果が確認できなかったとか、当初は、危険因子としてあげられていた薬剤も、さほど影響がないということが報告されだしました。
しかし、まだまだ未知の部分が多く、治療に関しては、それぞれの臨床現場で Try and Errorを繰り返しつつ、特に重症患者に関しては、徐々に確立されつつあるといったころです。実際、重症患者の死亡率は昨年春に比し、1/2に低下しています。(しかし、残念ながらそれでも未だに20%以上はありますが・・・)
一方、国民の間では、連日のマスメディアによる報道やワイドショーでの放送、ネット情報などから、自分なりに集められる情報を集めだしました。自身が信頼できる情報、あるいは信じたい情報、さらには自身やごく身近な人々の経験から得られた限られた情報に満たされることで、自身の行動を制御しだしています。
現在、1月8日より2回目の非常事態宣言が発出されましたが、1回目の時に比し100倍以上の感染者がいるにもかかわらず、1回目ほどの行動自粛がみられていません。
この1年の、毎日の感染者数報告の報道で、却って数によるインパクトが弱くなっていることを感じます。おそらく、身近に感染者がいない方は、それでも自分は大丈夫だったという根拠のない自信、若者の間では、仮に罹ったとしても大したことにはならないであろうという自信が蔓延しています。
いま一度、現状を客観的に、冷静に見直してみることが必要ではないでしょうか?
(図)
図:国内の一日感染者数と累計死亡者数(1月27日現在)
新型コロナウイルス 日本国内の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイトより
(図)
図:大阪府の一日感染者数と累計死亡者数(1月27日現在)
新型コロナウイルス 大阪府の感染者数・死者数・重症者数データ|NHK特設サイトより
全国的には、昨年3月末から5月始め頃までに小さな第1波があり、その後、7月の末頃から第1波より大きな第2波がみられています。丁度7月より、GO TOキャンペーンなどが開始されていますが、夏休み明けの9月には収束に向かいつつありました。政府は、GO TOトラベルと感染者増加との関連はなく、そのようなエビデンスはないと完全否定し、そのまま12月28日まで継続を続けます。
しかし、第2波が完全に収束する前の11月始め頃より再上昇を認め、気温が低下しだした12月中頃以降は、急激に上昇いています。
大阪では全国の動向とは別に、11月中頃以降に少し高いピークを迎え、その後は全国並みの再上昇を認めています。11月1日には大阪都構想の住民投票がありましたが、例年の選挙に比べ、人の集まりは少なかったものの、9月10月に比べるとやはり多かったように思います。
累積死亡者数の増加も、全国より少し早く増加に転じ、しかも、その後の増加も急激で、いまや、大阪府の死亡者数は全国トップで、全国の1/7を占めています。
死亡者の内訳をみると、やはり、高齢者に偏っており、高齢者への感染をいかに防ぐかが、死亡率低下に結びつくことが伺われます。
大阪での感染者数は、昨年8月22日には1000人に1人位、11月には500人に1人でしたが、1月中頃には200人に1人まで増加しています。
今回の非常事態宣言後に、感染者数の減少の兆しは見えていますが、公表されている感染者数は、実際の感染者の一部でしかないということを改めて自覚する必要があると思われます。
今回のウィルスの大きな特徴は、発症までの無症状期に感染力があること、中には無症状のまま経過する人が多くいるのが特徴です。
最近の感染者の報告でも、経路不明者が60~70%まで増加しており、クラスターや濃厚接触者で見つかる人より多くなっています。
今後、非常事態解除後の行動が、より重要と思われます。
非常事態解除が終わりでなく、まさに、次の感染対策の始まりです。