※大阪府ホームページより
年頭の院長のつぶやきコーナーで、昨年来の政情不安も、今年のオリンピックで払拭できればと希望的観測をつぶやきましたが、年明けからは戦争以上に恐ろしい事態になってきました。
今回の新型コロナ感染の恐ろしさは、戦争と違って敵が目に見えないこと、当該国だけでなく世界中が危険にさらされることです。
さらに、恐ろしいのは、ウィルス感染に伴う病気そのものによる被害に加え、経済的被害、風評被害、心理的被害などが同時に伴って起こってくる可能性があることです。
みなさんも連日報道等でご覧のように、今やCovid-19(Corona Virus Disease 19;コロナウィルス疾病2019年の意味)感染は、海外由来の病気から国内のいたるところでいつでも発生しうる病気になっています。
しかし、この新型コロナウィルス感染症にも致命的な弱点はあります。それは、このウィルス(このウィルスに限りません)が自分から動いて人の体の中には侵入してこないことです。つまり、人の体を通じてしか拡散できないのです。政府や首長、海外の指導者も声明でしきりに呼び掛けているように、外出自粛の要請や命令はそのためです。しかも、この不要な外出自粛はみんなが協力して一斉にやらないと効果がみられません。一部の人が拡散すると、他の大勢の人の自粛が無駄になってしまうのです。
この2ヶ月、日本は世界の他国に比べて感染拡大を比較的抑えてきていると思われます。しかし、最近1週間は、他国の感染爆発直前の状態にも似てきています。他国では、感染者増加で医療現場が混乱し、その結果さらに感染が爆発的に拡がっています。しかも、その期間がわずか2~3週間という速さです。もし、医療崩壊にまで至ってしまうと、軽症の人も重症の人も行き場を失い、社会の機能が倒壊していきます。
感染爆発を起こした国の人たちは、「今になって思えば、当初は甘く見ていた」とか、「少し油断していた」と口をそろえて言っています。
今の我慢、自粛の効果、結果は後になってみないと評価はできません。
しかし、それまでは、今できることを、みんなで足並みをそろえて力をあわせることが必要です。
・「恐れず、侮らず!!」
今回のような、未知の病気に立ち向かう時には、恐れてばかりいてはだめです。こういう時こそ、個人のみならず、集団としての冷静な行動が必要になってきます。そのためには、正しい情報を正しく受け取ることが必要です。
人間は、心理学的にプライミング効果といって、最初に入った情報で、その後の判断が左右される(あるいは誘導される)とされています。今回も、若者の多くが、「自身は仮に罹ってもあまり心配していない」という報道が多く見受けられました。
これは、当初の「中国からの輸入感染症で、高齢者や持病のある人は死亡率が高いので注意が必要」という、2ヶ月以上前に最初に入力された情報の影響です。その後の連日の報道でも、自分で取捨選択し、自分に都合のいい情報のみを採用し、行動する理由づけにする帰来があります。
今一度、この未知の病気は、国内の至る所で感染の可能性のある、しかも若者も決して例外ではない病気として見直してみることが必要と思います。
感染者は当然被害者ですが、その被害者が加害者にもなりうる病気であるということ。さらに今や、全員が被害者であることを忘れずに、力を合わせて乗り越えていきましょう。
海外の指導者の発言ですが、心打たれるものが幾つかありました。
「今こうしている間にも、自身の感染の危険を抱えながらも懸命に戦っている多くの医療関係者、スーパーのレジなど生活必需品の販売に携わっている多くの人々、警察官など多くの人々」がいることに敬意と労いの言葉をかけたドイツのメルケル首相。こういう人々に支えられていることを思うと、安易な外出はできないと感じました。
「自身がコロナウィルスに罹っているかもしれないと思って行動してください」(確かニュージーランド首相?)こう考えると、自身の行動制限が人のためになること明確に自覚できました。
時々刻々と状態が変化しますが、勇気と希望を持って、みんなで力を合わせて乗り越えましょう。